リスティング広告などを依頼する時は、
広告費と手数料をわけて考えないと揉めやすい?

  • 2023.02.21

マーケティング

中小企業や個人事業主の方のマーケティング支援のお手伝いをさせていただいてますが、ヒアリングを事前に行ったり、お問い合わせやご相談いただいたりする際に、多く寄せられる内容の1つに、特に広告関連で払ってる費用が大きいのに動きが遅いといったテーマがよく挙がります。

もちろん実際にそういうケースというのも多々あるのでしょうが、広告運用という点においては、依頼するクライアント側の視点と、運用する代理店や運用代行側の視点、それぞれを経験してきたからこそ言えますが、ここにおいてそれぞれに大きな乖離があるとも感じます。

簡単に原因を挙げれば、使った費用全体で考えるのか、手数料で考えるのかの違いですが、ここを知っておかないと、なかなか相容れない事にもなってしまうため、今回はそのあたりについてまとめておきたいと思います。

実際にかかる費用=広告費+手数料

リスティング広告などを中心に、広告代理店に何かを依頼する際、掛かってくる費用としては下記の2種の費用が一般的かと思います。

  • 実際の広告費
  • 運用に関する手数料

この2つが主に費用として掛かってくることになります。
自社だけで完結させれば下の手数料がかかってくることはありませんが、広告をどこか外部の会社に依頼をして出稿なり運用なりをしていく場合は、どうしても手数料は避けられません。

そのため、実際にリスティング広告などの広告運用をお願いした場合、広告費+手数料が実際に費用としてかかってきます。これこそが、中小企業などで起こりやすい「ズレ」の正体でもあります。

一般的な業界平均は20%が手数料

リスティング広告に限らずネットの広告代理店系がなにかしらの広告、特に運用型広告を受ける場合は、広告費の20%を手数料として受け取るのが多いです。

なぜ20%なのかといった事や、20%が適性な料金体系なのかという話はありますが、ここではいったんそれは置いておき、業界的な平均はおおよそ20%というのがスタンダードになっています。

依頼主側は、広告費+手数料で考えやすい

広告を依頼する側は、当然自分たちのお金を使ってお願いをするわけですから、使った総額で考えてしまいがちです。

例えば、50万円の広告費を使ったという場合、50万円が広告費、それに対する20%が手数料となるため、10万円が手数料となって合計で60万円の費用を使ったと考えがちです。

代理店・運用側は手数料分しか考えない

一方で、代理店や運用側というのはそういう考えは基本持ちません。
というのも、そもそもその50万円というのは広告費として支払っているもので、自分たちに1円たりとも入ってくるものではないからです。

先ほどの例で言うなら、50万円の広告費を使って運用を行ったとなれば、自分たちの取り分(手数料)は、10万円のみということになり、これが代理店や運用側の利益分となってきます。

運用側は利益分の中でしか動けない事が多い

実際に広告全体で使った費用が60万円でその額を支払っていたとしても、運用代行側として受け取れる手数料は10万円のみになりますので、当然ながら運用側も営利企業であるため10万円以上の工数をかけたりするというのは難しくなります。

リスティング広告など、継続やうまくいけば予算が上がっていくことも考慮したり、そういった先を見据えて最初は赤字でもガッツリ取り組んでいくという事もあるかもしれませんが、基本的には受け取る手数料分で出来る事をしていくという事になりがちです。

50万円の広告費と10万円の手数料であればまだそこまで違和感はないかもしれませんが、これを仮に、20万円の広告費や10万円の広告費として考えてみるとわかりやすいかもしれません。

小規模案件ほど、この手の問題は起こりやすい

20万円の広告費というのは、見る人が見たら小さな額かもしれませんが、中小企業や小規模店舗にとっては、結構な勇気がいる額でもあります。

ですが、20万円の広告費の場合、代理店や運用代行会社が受け取る手数料というのは、20%であっても万円になり、10万円の広告費に場合は、2万円ということになってしまいます。この時、逆の立場で考えてみるとわかりやすいのですが、2万円の手数料でやれることを考えるとそう多くはありません。

広告などは調査や設計と色々手間も時間もかかり、そこに運用やポートや報告とやっていくとどうしても2万円では出来る事が限られてきてしまうため、2万円で出来る事をと運用側は考えてしまいます。

一方で、依頼側としては広告費全体として、24万円も支払ってるのに!といった事や、12万円も支払っているのに全然動いてくれないし、できないと言われる!といったことを抱きやすいです。

最近は少額案件は避けられがちで一定額以下は固定費用化も

そういった事もあり結構色々とトラブルとまではいかなくても、依頼側は結構な費用(24万円や12万円)を支払ってるのに動きが悪い、全然対応してくれないと言い、運用側は運用側で、手数料4万円や2万円だから、かけられる人件費的にできることは限られるといった平行線になってしまいます。

最近では、運用側も手数料の小さな案件は避けると言っている会社も多くなってきていますし、手数料は20%だけれども、最低10万円~といった下限額を設けるところも増えてきています。

どっちが良い悪いではなく理解することが大事

弊社では広告運用を受ける事もありますし、自分で企業と提携して運用してるサービスの広告を実際に運用もしている一方で、クライアントの案件を同意の上で、内容や規模などの影響から運用の専門に依頼し共同で見て管理するという体制を取ることもあります。

そのため、いわばどちらの立場も身をもって体験し経験している側であるため、どちらの言い分もその立場に立ってみればよくわかります。

自分たちが支払ってる額はこれだけなんだからという気持ちも、感情論的には自分たちで実際にお金を払っていると言いたくなるのはよく分かりますし、一方で、そうは言っても手数料分以上は赤字が出るから動けないというのも至極最もでもあります。

ただこれはどっちが良いのか悪いのかというものではなく、もともとそういう動き方が多いということを知らないからこそ起こる問題であり、知っていて最初にしっかりと双方が理解しておけば、問題無く進むケースでもあります。

まとめ

ホームページの制作や運用、管理などと違って、リスティング広告などは割と頻繁にリプレイスしやすく、ちょっと成果が悪かったり対応が悪いと、別の業者に!と見積もりを取ったり相談されやすい傾向があります。

弊社にもご相談としてホームページの制作やLP制作に合わせて、リスティング広告の相談もいただく機会がありますが、話を聞くと、今回のテーマのように、今の代理店は対応が悪いというケースで少額案件だから、代理店もあまり動けなかったんだろうな…というケースが度々ありました。

やはり少額案件というのは、依頼側からの思いと運用側からの思いの違いというのはどうしても生じやすいところもあるため、こういった広告費全体で考えるのと、手数料部分で考えて話すというケースは出やすくなりますので、依頼する際はそういうものだという事を知った上で考えて行くのが良いのではないかなと感じます。